
あなたは「怒る」と「叱る」の違いについてご存じでしょうか。一見同じように見えて、両者は全然違うものです。「怒る」と「叱る」の違いを正しく認識すれば、コーチングの質が上がり、チームや部下のパフォーマンスを大幅に向上させることができるでしょう。
今回は、「怒る」と「叱る」の違いについて紹介していきます。
「怒る」と「叱る」の違い
「怒る」と「叱る」の違いをご存じでしょうか?コーチングでは、「怒る」と「叱る」を間違えて使ってしまうと相手のやる気を削ぎ、仕事の進行に悪影響を与えてしまいます。「怒る」と「叱る」の違いを知ることでコーチングの質があがり、部下やチームのパフォーマンスも格段に伸びるでしょう。
まず最初に「怒る」と「叱る」の違いについて紹介していきます。
「怒る」は感情的に相手を責める
まず、「怒る」は感情のままに相手を責め立てることを指します。「怒る」は相手のためではなく自分のストレスや鬱憤(うっぷん)をはらすための行為と言えます。「怒った後自分だけすっきりした」という経験はありませんか。それは相手のために叱っているのではなく、自分のために怒っているのです。
また「怒る」の場合、相手の過去の失敗について言及し、しつこく責めることが多いです。「相手を言い負かしてスッキリしたい」という気持ちが根底にあるので、とにかく相手のミスや落ち度、気に食わないところを指摘してストレスをぶつけてやろうとしてしまうわけです。
「怒る」についてまとめてみると、「怒る」は相手のためでなく自分のために、感情のままストレスや鬱憤を相手にぶつける行為です。過去の失敗を責め、相手のことを批判するという内容が主になってしまいます。
「叱る」は理性的に相手の成長を促す
「叱る」は相手へのアドバイスする時、信頼関係を構築する時などに使われます。「怒る」と違い、相手を否定せず、冷静に話し合うというニュアンスが強いです。感情のままに相手を責めることはないので、相手のやる気を削ぐことなく、改善点を伝えることができます。
「この問題が起きてしまった原因は何だろう。」や「問題を起こさないためにするにはどうしたらいいだろう。」など相手の視点に立って、未来の問題解決や課題達成のアプローチ方法を模索する方法として使われるのが一般的です。
「叱る」は相手のために、コンプレックスや問題を克服するべくコミュニケーションを図る行為です。冷静に言葉を選びながら話すため、相手を大切にしながら会話をすることができます。
このように「怒る」と「叱る」では大きな違いがあります。感情的に「怒る」より、相手の成長を促す「叱る」を大切にすると良いでしょう。
コーチングにおける「叱る」とは
コーチングには「叱る」を使う場面があります。しかし、叱っているつもりでも無意識に「怒る」になってしまう人もいます。ここで忘れていけない考え方は、「主役は相手」ということです。
例えば、部下と上司の関係で考えてみると、主役は部下ということになります。上司が部下を「叱る」意味はあくまで部下に弱点や問題点を気付かせ、改善や行動を促すこと。上司はあくまでサポート役です。
しかし自分の鬱憤をはらす目的で行う「怒る」の場合、主役は上司です。部下は「自分を否定された」と感じてしまい、やる気もモチベーションも下がってしまいます。部下によっては上司への反感を強め、信頼関係を構築することも難しくなるでしょう。一見似ている「叱る」と「怒る」ですが、その結果は真逆。コーチングでは相手を主役に、成長や行動を促す「叱る」が重要になってきます。
また、叱り方にも注意が必要です。人前で次々と相手の問題点や欠点を列挙するような方法はNG。次から次へとダメ出しされると、部下はやる気をなくし、仕事に対して消極的になってしまいます。部下を「叱る」時は、相手の良かった点を褒めつつ、「次はこうするともっと良くなる思う!」と改善点を示してあげると良いでしょう。
部下やクライアントが自分の力を信じていなかったり、あきらめようとしていた時には必ず叱ることが大事です。どんな状況に陥っても相手を信じ、励まし続けていくことが最高のコーチングにつながります。
その結果、相手やクライアントとの間に素晴らしい信頼関係が生まれて最大限の力を引き出せるようになるでしょう。
「叱る」と「怒る」を間違えず、お互い良い信頼関係を築き上げよう
ここまで「怒る」と「叱る」の違いについて紹介してきました。感情任せに怒ってしまうと、部下のやる気を削ぎ、お互いの信頼関係も損なってしまいます。部下の成長を促し、チームのパフォーマンスを上げるためには、「怒る」ではなく、「叱る」の考え方が重要です。両者の違いをしっかり認識し、冷静に指導を行うことで部下と良好な関係を築くことができるでしょう。